インドネシアで起こった地震(9月28日)の被害

震度7に耐えた本棚

9月28日にインドネシア北部にあるスラウェシ島を襲ったマグニチュード7.5の大地震では、その被害の大きさが伝えられておりますが、これまでに判っているだけで死者は1,407人、けが人は2,500人を超える人的な被害の状況が伝えられております。特に震源地に程近いパル市の被害状況は甚大で、地震発生直後に同市を襲った最大高さ6mの大津波による被害の大きさが浮き彫りになりつつ有りますが、建物の倒壊によって建物の下敷きになった方も多く、パル市内にある7階建てのロアロアホテルの倒壊現場では、7階建ての低階層部分が完全に押しつぶされてしまい、21が遺体で発見される等の被害が確認されております。又、地震発生直後から停電も発生しており、最終的な被害状況の把握にはもう少し時間が掛かる見込みです。

インドネシアは、日本と同様に地震の多発地帯に有ります。過去には皆さんの記憶にも残っている2004年12月のスマトラ島沖を震源とするマグニチュード9.3にも及ぶ巨大地震も発生し、その地震によってインドネシアま勿論ですがインド洋全域に巨大津波がお押し寄せ、数十万にも及ぶ被災者を生み出しております。インドネシアに地震が多い理由は、インドネシアの地下に有るプレート構造によります。インドネシアの地下にはユーラシアプレートとインドオーストラリアプレートの狭間にある地帯で、このインドオーストラリアプレートがユーラシアプレートの下に潜り込む為、その地帯に地殻の歪が溜まり易くなり頻繁に地震を引き起こしております。日本ではユーラシアプレートと太平洋プレート、更にフィリピンプレートが関連する地震が多く発生しますが、インドネシアも日本と同じ様な地殻構造の上に有る為地震が非常に多い地帯と言えます。

インドネシアのスラウェシ島で発生した地震によって、判っているだけでも1,400人以上もの人が犠牲者になっておりますが、マグニチュード7.5の地震としては人的な被害が大きいと言えます。この犠牲者の6割以上の方が津波によって犠牲になっている事が判明しております。地震が多いインドネシアでは過去にも津波によって大きな被害が起きており、今回の地震でも再び津波による人的な被害が大きくなってしまいました。この原因の一つに挙げられているのが、現地で地震発生直後に発令された津波警報にあるとされております。津波警報は、地震が発生した9月28日の午後6時2分にスラウェシ島の中スラウェシ州周辺に発令されましたが、何と34分後には津波警報が解除されてしまいました。これは津波の第一波が観測された事を受け波警報を解除したとされておりますが、その直後にパル市をはじめとした地域に高さ6mもの大津波が押し寄せてしまった事が、ここ迄被害を大きくしてしまった原因であるとされております。

インドネシアでは、過去の巨大地震の度に多くの津波の被害を経験してきた過去が有るにも関わらず、津波に対する国を始めとした国民の意識の低さが有ると考えます。特に地震発生直後に津波警報を発令する気象地球物理庁(BMKG)の役割は非常に大きな物となりますが、津波の到来を監視する潮位観測所に設けられた潮位の変化を感知する機器の故障や、津波の特性を良く理解出来ていないと言わざるを得ないと考えます。又、津波の被害を受けてしまった地域に暮らす住民の津波に対する甘さも露呈しており、地震発生当時に海岸沿いでは大きな「引き潮」が発生しているにも関わらず、海岸線を見に行ったりする人の姿が多く確認されております。又、今回特に被害の大きかったパル市は過去にも津波の被害に遭った事が有る地域で有った為、地域住民の間では津波に対する経験からの油断が有った物と考えられます。

今回、インドネシアで発生した地震と津波による被災者は、1日も早く普段通りの生活を取り戻して欲しいと考える一方で、インドネシア政府更には世界各国からの支援を受けられる事を望んでおります。特に一般の住民の間では、食料を始めとした日常の生活物資の不足が深刻な状況となっており、街中では商店に対しての略奪等の治安の悪化も懸念されております。又、パル市にある刑務所からは受刑者の脱走が発生し560人もの受刑者の脱走が確認されており、更なる治安の悪化も懸念されております。更に、9月28日の地震に続き、10月3日には同じスラウェシ島北部のソプタン山が噴火したニュースも飛び込んできており、自然災害の脅威をまざまざと見せつけてくれております。一刻も早い国を上げての支援が望まれるインドネシアです。

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