大阪北部の地震での教訓~交通機関の渋滞にまきこまれないように

2018年6月18日に起きた大阪北部地震では、地震の発生時間が通勤時間帯という事もあり、多くの人々が通勤電車の車内に閉じ込められたり、道路の渋滞に巻き込まれ身動きが取れなくなっています。
地震による道路の寸断や冠水がなかったことや、緊急時の交通規制が行われなかったことから、元々混雑している一般道へ通行止めとなった高速道路からの車両が流れ込んだり、鉄道の復旧を待てない乗客が多数のタクシーを呼んだことにもよりました。
こうした激しい渋滞は、救急車などの緊急車両の通行の妨げや、鉄道点検の作業員が現場に到着するのが遅くなる原因となっています。

ベッドタウンに向かう帰宅難民が徒歩で向かった新御堂筋には、大勢の歩行者が滞留し混乱を極めています。
本来なら、地震察知で降りた遮断器も手動であげられるものですが、乗客の誘導や線路に忙殺された鉄道員の手が回らなかったことも、復旧を遅らせることになった要因の一つとされています。
現在消防と交通各社、行政機関が、大都市の交通をマヒさせた地震の検証を急いで行っています。

こうしたことは、大阪だけではなく、東日本大震災の際にも首都圏で既に起きていたことです。
過去の教訓も実際に起きてみると、とっさには理屈通りには機能しないということがよくわかります。

この大阪北部地震で起きた激しい交通渋滞を踏まえて、緊急時の対応を行政が国民に呼びかけながら対策を練っています。
それは、突発的な大地震による災害が発生した際には、外出を控え、特に一般車両での移動(送り迎えを含む)を控えることです。
鉄道の運休停止に伴う際に乗客や利用者の運搬を代替するのは、バスとタクシーなどの公共の交通機関です。
この二つの運航の妨げとなる一般車両による渋滞は、出来るかぎり避けなければなりません。
震災直後から大阪府職員が通勤方法を自転車に変えたように、通勤手段を公共機関に頼らない方法に変更できる人が増やすことにより、激しい渋滞の緩和に役立てることができます。

また、現在タクシーの相乗りは道路交通法によって原則として禁止されていますが、こうした緊急時のには相乗りサービスが必須となることから、国土交通省は本格的導入のための実証実験を行い始めています。
この試みは、東京五輪に向けた大型車両不足解消に向けた取り組みとなっています。
タクシーの相乗りサービスとは、スマートフォンの配車アプリを利用することにより、相乗りができ乗車賃を割り勘で安く済ませられるサービスです。
乗車地や目的地を入力し、同じ方向の利用者と相乗り成立後、運賃はそれぞれの乗車距離に応じて自動計算される仕組みです。

先の東日本大震災の際は、社内泊と交通機関運休に巻きこまれながら出勤を余儀なくされることもあり仕方ありません。
震災直後の国道の渋滞と渋谷の交差点並みの歩行者を目の当たりにし、1日経っても帰宅難民ですし詰め状態の駅構内で微動だにしない群衆の中にいて気分が悪くもなることもあります。
心底このような時に動くデメリットを感じましたが、動かなくてなならない時もあります。

このような状況下では、世論的に公共施設・病院・ITサービス関係者以外の出勤をなるべく控えるよう呼びかけられていましたが、なかなかそういう事にはなりません。
まず社内泊が不可能な人達や近所に避難所となる公共施設がなかった人は、深夜でも歩くか最寄りの駅やタクシー、バス乗り場であてのない行列に並び続けるしかありません。
それは震災後数日たっても続きます。
長時間並んでいれば、気候・天候により体調を崩す人や、必ずトイレの問題も出てきます。
首都圏における路線によっては駅員による見事な応対と、長蛇の列に苛立つことなく整然と並び続けた人達の忍耐力は流石としか言いようがありません。
長蛇の列の列車の後に、長蛇の列のタクシーで最寄りの駅に到着すると駅の入り口はシャッターが締まっていたため、徒歩で迂回、深夜の最終バスがたった一人の乗客を乗せて、ガソリン不足で車が消えた国道を猛スピードで走り向けた光景が今でも目に焼き付いています。
今回の大阪北部地震の教訓が、今後の国や行政の方針として活かされればと思います。

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