免震と制振の違いについて

震度7に耐えた本棚

近年では、日本各地で大規模な地震が発生し、残念ながら多くの人々の生命と財産がその犠牲となっています。地震の被害と言えば、津波や建物の倒壊に土砂崩れ、さらには揺れが収まった後の火災など大規模な被害を想像して、対策を国家や自治体が考えていますが、私たちの生活の身近な部分がおろそかになりがちです。その忘れがちな部分が揺れによる家具の転倒や建物の倒壊です。最近は耐震の建築物が増え、建物倒壊の危険は減ってはいるものの、家の中は揺れでメチャメチャに破壊され、多くの人が倒れてきた家具や壊れたガラス製品などでケガをしたり、最悪の場合死亡する可能性もあります。そんな危険を減らすため最近では免震と制震という技術が注目されています。

まず、免震と制震の違いの説明に入る前に地震の揺れによって発生する家具の転倒や破壊の危険性について解説したいと思います。発生した地震のケガ人のデータから見ていきましょう。1995年に近畿地方で発生し、震度7の猛烈な揺れを観測した阪神淡路大震災では、ケガ人のおよそ7割の人が転倒した家具の下敷きになったり、落ちて壊れたガラス製品などでケガをしていることが分かっています。つまり家屋が無事でも室内の家具などが転倒することによって、中にいる人間に大きな被害が出てしまうということです。さらに転倒した家具や落ちた道具類は、避難する際の足の妨げになってしまいます。避難経路をふさいだり、ガラスが床に散らばるなどして素早い行動が不可能になります。

このように建物の耐震性を高めただけのいわゆる耐震建築では、家屋そのものは守ることが出来ても、中にいる人間や大切な財産を守ることが難しいことがわかります。そこで注目を集めているのが制震と免震です。こちらの2つの建築方式は建物の耐震性だけでなく、揺れをできるだけ抑える仕組みになっており、中にいる人間や家具などを地震の揺れから守ります。しかし、なぜ制震と免震の2つの種類に分けられているのでしょうか。同じ仕組みなら分ける必要はありません。そこには2つ仕組みの間にある考え方の違いが大きく関わっているのです。次の章で2つの仕組みを詳しく見て、正しく強い防災対策を立てて、今後やってくるであろう大地震に備えましょう。

まずはじめに制震構造です。こちらは読んで字のごとく、「揺れ」を「制御」する仕組みのことです。建築方式としては建物の構造内部におもりやダンパーなどの制震部材と呼ばれる特殊な部材を組み込み、建物に伝わる地震の揺れをこれらの部材が吸収して建物が揺れるのを制御します。特に高層建築などに用いると効果が現れやすく、あの有名な東京スカイツリーなどでもこの仕組みが使われています。また日本の仏教建築である五重塔もこの仕組みと同じで、地震大国で多くの塔が残っているのはこの制震技術のおかげです。しかし、制震は耐震よりは良いもののは完全に揺れを吸収することは出来ないため、室内で家具の転倒や道具などが散乱する危険性があるため、注意が必要です。

次に免震構造についてです。こちらは建物と基礎部分の間に免震装置と呼ばれる特殊な装置を設置し、建物に地震の揺れを直接伝えない構造になっています。耐震や制震と違い、建物に揺れを伝えないため、ほとんど建物が揺れることはありません。そのため、大きな被害が発生する家具の転倒や道具の散乱といった被害を限りなく抑えることができます。最近では地震から建物、さらに室内の人間や財産を守る手法として注目を集めています。しかし、完璧に見える免震構造にもデメリットがあります。それがコスト面での負担が大きいことです。耐震や制震に比べ、特殊な装置を使用するためどうしても工事に関する費用が高くなってしまい、免震構造設置の大きな壁となっています。

スポンサーリンク
広告(大)
広告(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
広告(大)
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。