賃貸物件のほとんどは天井や壁に穴を開けられない
地震対策の肝は、建造物の耐震化と家具の固定です。家具を固定する人は年々増えており、L字金具で固定するという対策をしている人もいるでしょう。転倒防止対策をまだしていないという人のなかには、面倒だという声や、先延ばしにしているという声もあります。しかし、なかには家具や壁を傷つけるからという理由や、部屋の見た目が悪くなるという理由もあるのです。ただ面倒なだけではないのか、と思う人もいるかもしれません。しかし、これは実は賃貸物件に住む人の声なのです。賃貸から退去する際、原状回復が必要となります。借主に義務として課されている原状回復とは、退去の際に、借主の故意・過失や通常の使用方法に反する使用など、借主の責任によって生じた住宅の損耗や傷などを復旧することです。傷つけた場合、借主の負担になってしまうのです。そのため、穴を開けてネジで固定するという方法は出来ないのです。
家具の上には、突っ張り棒
建物が地震に耐えられても家具が転倒して怪我をしてしまうことがあります。重たい本棚やラックが頭の上に倒れてしまい、亡くなってしまった方も大地震の被害者のなかにはいます。さらに、食器棚が倒れたことによって食器類が割れ、避難する時に割れたガラスの破片で怪我をするということも十分にあります。建物にしっかり耐震対策をされていても、部屋の中の家具や家電の地震対策までしてくれません。つまり、自分で地震対策をするための工夫をし、家具や家電による怪我をしないために対策することが大切です。賃貸では、穴を開けることでトラブルを呼ぶことがあります。そういったことがないように、私が勧めるのは、転倒防止用の伸縮棒です。家具の天板と天井の間に設置するものです。工具は必要なく、だれでも簡単に設置できます。天井と家具の距離が短く、奥行きのある家具に設置することをおすすめします。棒が傾いていると効果がありませんので、真っ直ぐになるように取り付けてください。
家具の下には、ストッパー、マット
どの家であっても必ずしておかなくてはいけない耐震対策。面倒だと言って先延ばしにしていると、いざ地震が起きた際に大怪我を負ったり、最悪命を落とす危険性があります。うちは耐震構造の家だから関係ないと思っていては、命取りになります。決して油断しないようにしましょう。賃貸での耐震対策で、伸縮棒、突っ張り棒など天井で固定するというのも十分ですが、下にもストッパーやマットなどをつけると効果が期待できます。粘着性のあるマットで、家具や家電の下に貼り、設置場所に固定する方法です。エネルギー吸収率の高い超粘着・超無反発ゲル素材を使っているため、地震の揺れを吸収し、転倒するのを防いでくれます。特に、電子レンジやテレビ、パソコンなどの家電に使うと効果的です。
上下のダブル対策で効果アップ
家具と天井を固定する突っ張り棒・伸縮棒の他にも、実は別に固定する方法はあります。L型の家具転倒防止グッズで、家具と壁を粘着で離れないようにするグッズです。壁に穴を開ける必要もありませんので、便利です。ただし、粘着力が弱まってくる可能性があるので、定期的に粘着が持続しているかを確認しましょう。耐震対策の効果がさらにアップする方法として、壁と床両方固定するという方法です。天井と家具の間を突っ張り棒または伸縮棒で固定する。そして、床と家具の間に吸収率が高く、無反発な粘着マットで固定する。こうすれば、かなり耐震に期待が持てます。粘着マット、ストッパーなどさまざまなグッズがあります。さらなる耐震工夫をする場合は、三箇所固定することをお勧めします。
収納物の落下防止も忘れずに
本棚に収納されている本などは、重い辞書や参考書、図鑑や漫画雑誌などは下に置いておき、重心を下に向けるように工夫しましょう。軽い物例えば文庫本や文庫本サイズのマンガなどは、上に置いておきます。本の落下は、上記で書いた固定方法で耐震対策をしておきます。そのほかの食器棚やタンス、棚などの落下防止のためにも、重い物を下に置くという方法の他にも様々あります。食器棚は、ガラスの扉である場合もあるでしょう。そのために、ガラスフィルムなどを貼り、ガラスの飛散を防ぐことができます。そして、ガラスフィルムを貼ったその扉に鍵を取り付けるという方法も効果的です。タンスや棚も同様に、引き出しに鍵がある場合は、それでしっかり閉め、飛ばないようにします。棚のなかには、移動できる棚板がある場合は、その棚板で調整します。負傷者のうち、落下物による負傷は半数を占めています。固定や落下防止は、命綱であるということを認識しておく必要があります。