キャッシュレス化は大地震の際に困る

震度7に耐えた本棚

今回の記事では、キャッシュレス化の問題点などについて、お話させていただきたいと思います。
日本政府は2018年10月、来年の10月をもって消費税を現在の8パーセントから10パーセントへ引き上げることを発表しました。
その際に、現金を使わずクレジットカードなどで支払う、キャッシュレス決済を使用して支払いをした場合、
価格の2パーセント分をポイントとして貯めることができ、買い物で貯まったポイントは
その後の買い物に使うことができる、という制度を導入しようと政府は検討しています。
消費税増税による消費の落ち込みを防ぐという目的で行われるこの取り組みですが、キャッシュレス化には問題点があると言われています。

このままキャッシュレス化が浸透し、クレジットカードなどを使って支払いをすることが主流となった場合、
大地震などの災害が発生した場合、支払いができなくなるのではないかという懸念があります。
2018年9月北海道胆振東部地震が発生し、北海道の全域で数日間にわたり停電が発生しました。
停電が発生している間、北海道内ではクレジットカードによる支払いができないという事態になりました。
停電が発生している間であっても残っている食料品や飲み物が各地で売られており、多くの人が殺到しておりましたが、
このような時現金を全く持っていない状態だといくら有効なクレジットカードを持っていても支払いを一切することができないと
いうことになってしまいます。

北海道胆振東部地震が発生するまで、キャッシュレスでの支払いは支払いにかかる時間が短く、さらに重い
小銭を持ち運ばなくても良いなどの理由でもてはやされており、今後全国的にキャッシュレスを拡大し現金による支払いは
段々減っていくと見られていましたが、地震が発生したことで、改めてキャッシュレスの弱点が露呈するという形になってしまいました。
そもそも政府が消費税を引き上げると同時にキャッシュレスによるポイント還元制度を始めると発表したのは、
消費税増税による消費の落ち込みを防ぐためという狙いのほかに、海外と比べてキャッシュレスが浸透していない日本国内における
キャッシュレス化をさらに推し進めていきたいと政府が考えているからだということも考えられます。

たびたびテレビなどのメディアに出演されている社会学者の古市憲寿氏は、日本のキャッシュレス化について、
デイリー新潮に掲載されている記事の中で、「北海道胆振東部地震による停電で電子マネーやクレジットカードによる支払いができなくなったことを受けて、
『現金の方が優れていて、キャッシュレス化は全く日本には合っていない』と言う人がいるがその言説は必ずしも正しいとは言えない。いつ起こるかわからないようなことのためにキャッシュレス化を進めないことは間違っている。しかし、なるべく被害を少なくするために、何らかの対策は施していく必要がある。」(要約)と述べており、
キャッシュレス化に賛成であるという立場は崩していないものの、災害時のための何らかの対策が必要だとしています。

キャッシュレス化は災害の多い日本では浸透しにくいという面があることが
2018年の北海道胆振東部地震による大停電によって明らかになりました。
最近の日本では災害対策が徹底されているため、かつてよりも停電が起こりにくくなりましたが、
2018年の北海道での大規模停電のように、今後も大規模な停電が起こる可能性は否定できません。
キャッシュレス化を進めることはまだ意義があるとしても、現金による決済をすべて排除して
電子マネーやクレジットカードのみの支払いに限定してしまうのは非常に危険であると思われます。
今後、キャッシュレス化を進めていく上で、キャッシュレス設備の導入のためのお金を国が小売店などに補助していくこと、
そしていつどこで起こるか分からない災害時の対応を協議していくことが必要なのではないでしょうか。

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