アウトドア体験で楽しく防災訓練を学ぶ
東日本大震災以降、アウトドア体験を通じて防災訓練を学ぶ体験型学習プログラムが実施されています。
文部科学省主催による小中学校の取り組みだけでなく、民間で実施している団体も少なくありません。
防災訓練とは無縁の遊びのようなプログラムですが、主催者側は遊びを通じて得た知識こそいざという時に役立つという考えを持ち実施しています。
プログラムの内容は、アウトドア用品を使い、火をおこし、川の水を飲料水に変えてお湯を沸かす方法や、ロープの結び方やテントの張り等実践的なアウトドア用品の使用方法を教えています。
防災のためという義務感やネガティブ思考ではなく、電気やガスのない所へレジャーで出かけるアウトドアライフのような、遊びながら防災用品も揃えられ、遊びで得た知識をいざという時に役立てられるのを最終目的としています。
幼少期の子供達におけるこのような体験は、アウトドアの知識のある人たちの増加につながり、防災に強い国づくりになると考え、個人的に取り組む人達も出てきています。
暮らしの中の防災用品、テントとシュラフ(寝袋)。
震災時における避難所支援として、テントやシュラフ(寝袋)が寄贈されたニュースはまだ耳に新しい情報です。
度重なる余震が続く地域では、倒壊しなかった家屋や避難所でも落ち着いて眠れることができないため、長期間野外で過ごす事を余儀なくされた被災者にとって、こうしたテントやシュラフの救援物資がとても役立っています。
テントは雨風だけでなく、プライベートを確保できる落ち着く空間でもあり、シュラフは、布団がない場所でもコンパクトに置け良質の睡眠の確保につながります。
心と体を休める場所や用具としても、こうしたアウトドア用品が災害時に役立つのです。
アウトドア用品を普段から使用している知識は、災害時の急な場合でもすぐ応用が利く知識となり、集団の中でも個人の範囲でも役立ちます。
支援物資としてテントを支給にあたり、その張り方を心得ているか、教わらなければできないかでは、心や体が受けるストレスや忍耐、不安感が変わってきます。
火を起こせることで、防寒と自炊が可能になる。
アウトドア用品には、ナイフの背で金属の棒を擦ると火花が飛び散る仕組みのガス不要の「メタルマッチ」や、細菌まで除去できる浄水器、効率よくお湯が沸かせ煮沸消毒ができるケトルなどがあります。
これらのアウトドア用品を普段からレジャーとして用意し使い方に馴染んでいるだけで、災害時の自炊が戸惑いが少なく可能になります。
アウトドアライフに普段から馴染んでいると、焚火のための薪の集め方や組み方が楽しく学習できます。
ガスライターを使わずに火を起こせさえすれば、寒冷地や冬の時期に暖をとれたり灯となる焚火を作れ、自炊が可能となります。
また火の消し方など、火の扱い方に慣れるという点でもいざという時に役立つ知識が得られます。
また火を使わず、汚れていても水さえあれば加熱可能な調理器具もアウトドア用品にはあります。
これによって救援物資のレトルト食品やゆで卵、野菜スープ等の簡単な調理が行えます。
体力をむやみに失わない判断力や行動力
本格的なアウトドアスポーツでは、趣味やレジャーとは違い、厳しい環境下でのキャンプや登山での雨や風、炎天下など、様々な天候の条件下における限られた装備での対応力が求められます。
このような現場では、体力をむやみに失わない判断力や行動力の是非が問われるのです。
災害時直後は、被災者側にどれくらい生きるための知識や術を身に着けているかで、被害の大きさも変わってくる可能性が高いと言えます。
災害時の臨機応変な対応として、普段からアウトドア生活に馴染みその知識を持っていると、判断が早く心にも余裕が出てきます。
次にどのような行動をとれば適切であるかを的確に判断できることにより、無駄な体力の消耗を防ぎ、結果生存率を高めるだけでなく、救援される側から救援する側に回ることができるなどの行動に移すことが可能となります。
体力があり、知識の豊富な人は、災害現場に必要なリーダーシップがとれるからです。
アウトドアの数日間のキャンプ体験は、防災訓練につながります。
初めて経験する不安な状況では、経験済みな事が少しでも多くあれば気持ちの上でも実際の場面で大きな助けとなりえます。
子どもを守るアウトドア的防災術
子どもを守るアウトドア的防災術は、どのような事でしょうか。
防災の備えというのは、大人目線の物ばかりです。
また、災害時に子ども達が不安になってしまうのはどのような時なのでしょうか。
赤ちゃんや乳幼児は、災害時の非日常が理解できないため、家で生活しているのと同じ暮らしになるような用意が必要になってきます。
たいていの物は大人用防災用品の子ども版となりますが、そのなかでも母子手帳と、幼い子どもたちの頭部を守る防災頭巾は必需品となります。
そして、災害時の際にパニックを起こしにくくするよう、大人同様、普段からアウトドア体験をして環境の変化に慣れさせておくのが一番です。
現在、文部科学省主催による小中学校の取り組みだけでなく、民間の団体で実施する防災体験を学ぶキャンプ等が開催されています。
災害時に役立つアウトドアの知識を学びながら、楽しんで参加できる防災体験プログラムとなっています。
幼少期の子ども達におけるこうした体験は、アウトドアの知識のある人口の増加につながり、防災に強い国づくりになると考え、個人的に取り組む人達も出てきています。