やけどとは
やけどとは熱や化学薬品に皮膚が触れることで、皮膚、組織が障害されることを言います。
正常な皮膚には細菌が体内に侵入することを防ぎ、水分や体温を維持する働きがあります。
しかしやけどによりこのバリアが破壊されると感染症に感染しやすくなったり、体に必要な水分、体温をキープすることができなくなってしまうのです。
私たちの身の回りには、キッチンや暖房器具など、やけどをする危険が意外とたくさん潜んでいます。
やけどによる被害を最小限にとどめるためには、やけどをした後、適切な応急処置を速やかに行う必要があります。
やけどはその深さに応じてⅠ度からⅢ度まで分類されますが、それぞれ応急処置の方法が異なりますので、把握しておく必要があるでしょう。
やけどの深さの定義
やけどの症状は皮膚がダメージを受けた深さと広さで決まります。
Ⅰ度のやけど(皮膚の表面だけのやけど)
表皮だけが損傷を受けた状態です。やけどをした皮膚の表面が赤くり少し腫れる程度です。痛みを伴うこともあります。
長くても一週間以内に赤みは引き、跡を残すことはありません。夏に起こる「日焼け」はこのⅠ度のやけどに分類されます。
Ⅱ度のやけど
水ぶくれができるやけどです。やけどの深さによって2種類に分けられます。
浅在性
皮膚に水ぶくれができるやけどのうち、深度が浅いものをいいます。水ぶくれが破れると傷になりますが、跡を残さずに治ります。(2週間程度)
深在性
真皮の深い部分まで障害を受けた状態です。浅在性のものより治るのに時間がかかります。(約1ヶ月程度)。跡を残してしまう事が多いです。
Ⅲ度のやけど
真皮だけではなく、皮下組織まで障害が及んでいる状態です。もっとも深刻なやけどで、治った後でもキズ跡が残り、ケロイドになることもあります。
Ⅱ度以上のやけどを大人では全身の20%以上、子供は全身の10%以上負った場合、重症やけどと診断されます。
応急処置の方法について その1
やけどを負った場合、すぐに適切な処置をする必要があります。
しかしⅠ度のやけどは特に処置は必要ありません。どうしても気になる場合は炎症を抑える作用のある軟膏を塗っておくとよいでしょう。
Ⅱ度以上のやけどを負った場合、すぐに水で患部を冷やします。冷やすことでやけどの進行を抑え、痛みを和らげることができるのです。
冷やす時間は決まっていませんが、必ず15分以上はしっかりと冷やすようにしましょう。
この際注意する点は、あまり温度の低い水や氷で冷やしてはいけません。常温に近い水温がおすすめです。
濡れタオルで患部を冷やすこともおすすめです。
やけどの範囲が広い場合、長時間冷たい水で冷やし続けると体温が下がり低体温症になってしまう場合があります。
応急処置の方法について その2
やけどをしてしまったとき、服を簡単に脱げる状況であれば服を脱ぎます。
やけどの範囲を広げてしまう可能性があるからです。
しかし服を脱ぐのが困難だったり服が皮膚に貼りついてしまった場合、無理に脱がそうとすると、
やけどした皮膚だけでなく周辺も皮膚も一緒に剥がれてしまうことがあるので、無理やり剥がすことはせず服の上からしっかりと15分以上冷やします。
自己判断で治療をすることは危険です。患部に消毒液をかけるとかえって状態を悪化させてしまうこともあるので絶対にやめましょう。
また水ぶくれを潰すと感染症にかかりやすくなる可能性があるので、潰すこともさけます。
すぐに救急車を呼び、医療機関を受診し医師の診断を受けるようにしましょう。
化学やけど
「やけど」と聞くと熱によるやけどが思い浮かびますが、それだけではありません。
漂白剤などの化学薬品で「化学やけど」を起こしてしまうことがあるのです。
化学やけどは化学物質に触れることで起こるやけどです。化学物質の種類や濃度、接触時間によって症状や重症度は異なります。
熱によるやけどより、時間とともに皮膚の深部に損傷が進行することが多いと言われているのでしっかりと応急処置を行いましょう。
化学やけどの場合、一般のやけどとは違った応急処置が必要になります。
化学やけどの場合、まずは原因となった薬品が何であるかを突き止めて処置を行う必要があります。
一番最初の応急処置としては、原因となった化学薬品をふき取り、流水で洗い流します。
この場合もできれば服を脱がせますが、無理やり脱がせてはいけません。
その後、すみやかに皮膚科を受診しましょう。