土砂崩れの原因、メカニズムを分かりやすく説明。危ない場所の見極め方と対策。

震度7に耐えた本棚

最近、日本の各地で自然災害が多く発生しています。心の何処かで、災害とは無関係と思ってしまっている人は少なくないはずですが、今やどこでいつ災害に見舞われてもおかしくない事態となっています。
日本は、外国に比べて比較的に台風、大雨、大雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火などの自然災害が発生しやすい国です。日本に住んでいれば、規模が大きいものでなくても地震や台風の経験をしたことがない人はいないでしょう。いつどんな災害に見舞われても慌てないよう、ある程度の心構えと準備は日本に住んでいる限りは必要なことです。その為には、災害の正しい知識を持つことが重要になってきます。今回は、大雨や、地震などで発生する土砂崩れについてメカニズムや危険な場所の見極め方を確認していきたいと思います。

土砂崩れで記憶が新しいのは、9月にあった「北海道胆振(いぶり)東部地震」かと思います。過去の土砂崩れの事例の多くは、今回のように地震や大雨などの二次災害として発生することが多いです。
そもそも、どうして日本で土砂崩れが多いかというと、日本は山が多く国土の約70%が山地で占められており、大変険しい地形となっています。その山も、もろくて崩れやすい岩や土でできています。ですので、梅雨や台風など一度にたくさん雨が降ることが多い日本ではその際に、土砂崩れが起きてしまいます。日本は世界の国々と比べても平均の2倍くらい雨が降るという統計も出ているぐらいです。
また、世界全体の1割を超える活火山が分布しており、日本は地球全体で見ればせまい地域にもかかわらず、大きな自然のエネルギーが集中しているため、地震が多く発生するのも原因となっています。

土砂崩れというのは斜面崩壊の一つで、急傾斜地にある土砂が急激に崩れ落ちることをいいます。豪雨や地震などによって斜面の安定性が変化し、表層の土層や大きな岩塊が混じっていない岩屑層が崩壊することをいいます。豪雨などで土の中にしみこみきれないほどの雨が降ったとき、溢れた水は地表を流れます。水は低い方へ流れて行きますが、水は水だけで流れず、土や石も一緒になって流れていきます。こうして崩落が進み、水と土石は土石流となって、低いところにある民家や田畑に襲いかかっていくのです。
また、降水時間が長く、降水量が多ければ、土の中は水で一杯になって、土の粒同士だけでなく、基盤の岩石と土の境目の結びつきが緩くなります。水がしみこみにくい基岩と土の境目に水の層ができてしまうことにより、土が基岩の上を滑って落ちて大規模な土砂崩れ”深層崩壊”となるのです。

日本のように限られた狭い平野に人が集中すると、多くの人が生活するための場所が必要とされ、谷の埋め立て、斜面の造成などの開発が行われます。この結果、崖下までに広がっている住宅地などができ、土砂災害の危険が潜む場所が増えてしまっています。そんな中で生活している私たちは、自分たちの身を自分で守るためにも、危ない場所の見極め方を身につける必要があるのではないでしょうか。
まず、土砂災害のおそれのある地区は「土砂災害警戒区域」や「土砂災害危険箇所」とされています。自宅などがこの危険箇所に指定されていないか、国土交通省砂防部のホームページで確認しておくといいでしょう。また、危ない場所の指標としては、斜面の傾斜が急なところ(傾斜角30度以上)、斜面の途中で傾斜が突然急になるところ(遷急点)がある斜面、谷型(凹型)の斜面、上方に広い緩傾斜地がある斜面が挙げられますのでこういった場所にも注意が必要です。他にも、人為的なものとしては、道路建設などにより斜面下部が切り取られているところ、樹木が伐採されそのまま放置されている斜面などもありますので、注意してください。

土砂崩れから身を守る対策としては、雨が降り出したら土砂災害警戒情報をよく確認するようにしてください。都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報となりますので、
気象庁のホームページやテレビ、ラジオで確認するようにしてください。また、避難指示が出た場合は早めの避難も重要になっています。「大丈夫だろう」と安易な考えば捨てて、避難指示が出ていなくても危険だと感じたら自主的に行動を起こすことも大事です。どうしても避難場所への避難が困難なときは、土砂災害の多くは木造の1階で被災しているため、2階以上に緊急避難するか、がけから離れた部屋に避難するようにしましょう。事前に、市町村が作成する土砂災害ハザードマップを利用して避難場所や避難経路を確認しておくことも重要になってきます。
土砂崩れについてきちんとした知識を身につけ、危険性を知り対策を考えておくことが、いざという時に大事になってきますので、日頃から意識して災害から身を守っていきましょう。

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