台風21号(2018年)の被害のまとめ

震度7に耐えた本棚

台風21号(2018年)は2018年8月28日にマーシャル諸島近海で発生し、9月4日に徳島県南部に上陸した台風です。上陸時の中心気圧は950hPa、最大風速は45m/s、最大瞬間風速は58.1m/sと観測されており、同日14時には兵庫県神戸市付近に再上陸した上でさらに速度をはやめました。「非常に強い」勢力で日本に上陸した台風は1993年の台風13号以来25年ぶりで、特に近畿各地での被害が続出したと報告されています。強風や高潮により、停電や交通網の乱れ、学校の臨時休校など、インフラや公共施設、産業、イベントに甚大なるダメージを与えながら日本列島を北上した台風21号は、5日午前9時に間宮海峡で温帯低気圧に変わりました。

総務省消防庁による被害状況の集計では死者13人、行方不明者0人、負傷者912人(重傷38人、軽傷857人、程度不明17人)、住家の全壊9棟、半壊46棟、一部破損2万1920棟、床上浸水28棟、床下浸水191棟、公共建物被害5棟、その他非住家被害66棟と報告されており、甚大な被害だったことが分かります。また関西電力によりますと、大阪府、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県、兵庫県、福井県と三重県の一部の8府県でのべ約224万7000戸が停電し、エレベーターの中に閉じ込められたという報告もありました。家屋崩壊や土砂崩れにより作業員が立ち入ることのが難しい地域もあったことから、10日の時点で約1万戸が未復旧の段階でした。

最大瞬間風速58.1m/sを観測したのは、大阪府の関西国際空港にある観測点「関空島」で、この関西国際空港では、飛行機の欠航のみの被害では収まらず、ターミナルビル側の滑走路ほぼ全域と到着ロビーや地下の機械室などが浸水し、そのため第1ターミナル全体で停電が起こりました。さらに強風にあおられたタンカーが関西国際空港連絡橋に衝突、損傷したより、JR関西空港線・南海空港線・関西空港自動車道の全てが不通や通行止めとなり、関西国際空港は孤立状態、全面が閉鎖されました。これにより利用客約3,000人と職員2,000人が一時取り残され、空港で一晩を明かすこととなり、航空各社や利用者の間で大きな混乱が起こりました。

強風による被害は日本の各地で報告されており、京都府のJR京都駅では中央改札口付近で駅ビルの天井ガラスが破損し、降ってくるガラスの破片により3名が負傷しました。同県の桜の名所として有名な平野神社では府指定文化財が倒壊、境内の桜の木の倒木を受け、復興に向けた義援金の協力を呼びかけるイベントが開かれたと報告されています。また滋賀県東近江市では金属加工業会社の倉庫が倒壊し、倉庫の近くで車を移動させるなどの作業をしていた1人が亡くなり、2人が頭を切るなどの怪我をしました。大阪府堺市、愛知県北名古屋市、三重県四日市市ではいずれも台風の影響で故障した屋根を修理しようとし風にあおられた3人が亡くなったという報告も上がっています。

台風21号は日本の産業へも大きな打撃を与えました。農林水産省の集計によれば被害地域は32道府県にもおよび、農産物、農地・農業用施設、林野、水産の各分野においてのべ255億円に及ぶ被害であったと報告されています。また、開催予定だったプロ野球オリックス・バファローズ対東北楽天ゴールデンイーグルス戦、読売ジャイアンツ対横浜DeNAベイスターズ戦、千葉ロッテマリーンズ対福岡ソフトバンクホークス戦の3試合が中止となったほか、山梨県で開催予定だった人気デュオ「ゆず」の公演、矢沢栄吉さんの全国ツアー愛知公演、人気グループ「SKE48」の劇場公演、歌手「高橋真梨子」の京都公演などもそれぞれ、中止・延期となりました。

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