大阪北部の地震での教訓~外国人旅行者への対応

2018年の6月に発生した大阪北部地震では、都市部で発生する災害特有の問題が浮き彫りになりました。
その問題の1つが、外国人旅行者に対する対応です。
ここ数年、日本を訪れる外国人観光客の数は飛躍的に増えており、アジアやヨーロッパなど
世界各国さまざまな地域から旅行者が訪れています。
これまで発生した災害に関しては、外国人旅行者の数があまり多くはない地方で発生した災害や、
都市部で発生した災害であっても外国人観光客の人がたくさんやってくることはなかった時代に発生した災害が多かったように思います。
主に日本人の子どもや高齢者が、スムーズに避難をすることができるようにするための対策は熱心に進められており、
公共放送NHKでは、地震情報や避難情報にフリガナをつけたり、文字を大きくすることによって、分かりやすくするための取り組みがなされていました。
しかし、災害時における外国人観光客への対応が問題になることはあまりありませんでした。
大阪北部地震によって、多くの外国人旅行者が路頭に迷ってしまうという現状が浮かび上がってきたのではないかと思います。

2018年6月に発生した大阪北部地震においては、大阪市や京都市といった外国人観光客に
人気のある都市が震度5弱以上の大きな揺れに見舞われました。
地震による影響で、近畿地方のJRや私鉄、地下鉄は長い間運転見合わせになりました。
鉄道の運行状況に関する情報は、駅の駅員による放送や駅構内の自動放送、電光掲示板などで情報を取り入れることができますが、
駅員の放送は基本的には日本語のみで、英語による放送はありません。
また駅の自動放送も、簡単な情報しか伝えることはできず、あまり役には立ちません。
電光掲示板の情報では英語の情報も載っていることが多いですが、情報量が少なく、外国人観光客の不安感を和らげることにはつながらないでしょう。
また避難に関する放送も、日本語でなされることがほとんどで、英語による放送はないため、たまたま海沿いに観光に来ていた
外国人観光客が大地震に遭ってしまった場合、津波から逃げることができるのでしょうか。
ヨーロッパなどでは大きな地震がほとんど起きない地域もあり、そのような地域から日本にやってきた外国人観光客にとっては
地震という災害は未知のものであり、強い不安感に襲われるのではないかと思います。

今までは日本に訪れる外国人観光客の数は少なく、災害時における外国人観光客への対応が問題になることはありませんでしたが、
今となっては観光客の数は増え、都市部だけでなく地方においても外国人観光客の姿を見かけることは珍しくなくなっており、
今後もさらに増えるのではないかと予想されているので、災害時における外国人観光客への案内を積極的に行っていくことが重要であると思います。
たとえば鉄道の運行情報を日本語だけでなく英語で行うことや、避難に関する情報を英語でも行っていくことが必要なのではないでしょうか。
テレビにおける地震や津波情報に関しては、NHKでは副音声に切り替えることで英語や中国語、韓国語などの言語で
情報を取り入れることができますが、それができるということはあまり知られていないのではないかと思います。
2020年の東京オリンピックを控えている一方で、日本にはいつ大きな災害が来るかは分からず、
外国人旅行者が多い場所で災害が発生することも十分に考えられます。
外国人旅行者に対しても、日本人と同様に災害から身を守ることができるような取り組みが必要なのではないでしょうか。

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